【平和を愛する世界人として】第七章・理想郷に向かって(3)

   ☆🐟☆🐟☆ 二十一世紀の宗教が目指すもの ☆🐟☆🐟☆

 🌹二十世紀は激動の世紀でした。過去二千年間に起きたことよりも、もっと多くのことがこの百年の間に起きました。二十世紀は二度の世界大戦を経験し、共産主義が勢いよく広がった後に消えていった世紀です。また神を捨てて物質に埋没した世紀でした。そうだとすれば、二十一世紀はどうでしょうか。科学が発達し、もうこれ以上宗教は必要なくなったという人達もいますが、人間の精神世界が無くならない限り、宗教の役割は決して終わらないでしょう。

 

 🌹宗教の目的は何でしょうか。それは神様の理想世界を成し遂げることです。より多くの人を宗教の世界に伝道しようと努力する理由は、より多くの人を神様の民にするためです。すべての人が神様の民になれば、世の中はもはや戦争と混乱のない平和世界になります。究極的に宗教の行く道は平和です。

 

 🌹神様は愛と平和を願ってこの世を創られました。自分の宗教だけが唯一の救いであると言い張って混乱を引き起こすのは、神様が願われることではありません。神様はこの世界のすべての人が、平和と和解、共生のために一生懸命に働くことを願われています。教会に行くがゆえに家の中に混乱が起きるとすれば、私たちは躊躇(ちゅうちょ)なく「家庭を守りなさい」と言います。なぜかというと、宗教は神様の完全な世界に入って行くための手段であって、それ自体が目標ではないからです。

 

 🌹人類は分かれた意見を一つにまとめ、衝突する文明の一致点を探し求めるでしょう。今後、人類を導いていく思想は、これまでのすべての宗教と、すべての思想を一つに合わせたものでなければなりません。過去のように一つの国が先頭に立って、人類を引っ張っていった時代はすでに終わりました。民族主義の時代も終わりました。

 

 🌹今のように、宗教と人種を前面に立て、同じ群れ同士で集結する時代が続くとすれば、人類は戦争を繰り返すほかありません。慣習と伝統を超えなければ、平和の時代は決して訪れることはありません。今まで人間を操ってきたどの主義も、思想も、宗教も、来るべき未来の平和と統一を成し遂げることはできないのです。ですから未来には、仏教も超え、キリスト教も超え、イスラームも越える、新しい理念と思想が出て来なければなりません。私が数十年間、宗派も超え、宗教も越えなければならないと、喉が張り裂けるほど主張してきたのも、まさにこのような理由のためです。

 

 🌹地球上には二百を超える国・地域があり、その国ごとにすべて国境を持っています。国と国の間には、お互いを区分する国境があるのです。国境によって分けられた国々は、永続することができません。国境を克服できるのは宗教だけですところが人々にとって希望となるべき宗教が、数多くの宗派に別れ、自分たち同士の争いに躍起になっています。自分の宗教、自分の教派第一主義に陥り、世の中が変わり、新しい時代が開かれることを知らずにいるのです。

 

 🌹数千年間築いてきた宗教の壁を崩すことは簡単ではありません。しかし平和世界に行くためには、必ず宗教の壁を崩さなければなりません。教団と教派はつまらない争いを止め、お互いの意見を調整していきながら、一つの世界に向かって進んで行く方法を模索しなければなりません。世界平和実現のための宗教の役割を果たすために、具体的な実践の道へと踏み出さなければなりません。幸福な未来は、物質的な繁栄だけでは成し遂げられません。宗教間の理解、精神的な融和を通して、思想と文化、人種の間の葛藤(かっとう)を克服することが急がれています。

 

 🌹私は、全世界の多様な宗教者に対して、三つのお願いをします。一つ目は、他の宗教の伝統を尊重し、宗教間の紛争や衝突を防ぐよう努力すること、二つ目は、すべての宗教共同体は互いに協力し合い、世界に奉仕すること、三つ目は、世界平和のための使命を完遂するために、あらゆる宗教指導者が参画する組織を発展させることです。

 

 🌹右の目は左の目のために存在し、左の目は右の目のために存在しています。また、二つの目は、人間全体のために存在しています。私たちの体の手足がすべてそうです。自分のために存在するものは一つもありません。宗教も自分のために存在するのではなく、愛と平和のために存在します世界平和が成し遂げられれば、もはや宗教は必要ありません。宗教にとっての最終的な目標は、愛と平和に満ちた世の中を現実世界に成就することです。それが神様のみ旨です。

 

 🌹人間の心を平和に対する渇望でいっぱいに満たすことは易しいことではありません。そのためには、繰り返し教えて、また教えなければなりません。それで私は、教育事業に心血を注ぐのです。私たちの教会が基盤を確立する前に「仙和(ソンファ)芸術学校」を設立し、「清心(チョンシン)国際中学校」「鮮文(ソンムン)大学」など、さまざまな学校を建てました。また韓国だけでなく、アメリカの「ブリッジボード大学」を初めとして、世界各地でたくさんの学校を建てたり運営したりしてきました。私の教育理念は、仙和芸術学校を建てたときと同じく天を愛し人を愛し国のために働く人材を育てることです。

 

 🌹学校は真理を教える聖所のような所です。学校で教えるべき最も重要な真理は何でしょうか。一つ目は神様を知って、その存在を現実の世界に顕現させることです二つ目は、人間存在の根源を知り、自分の責任を果たし、世界の運命に責任を持つことです。そして、三つ目は、人類の存在目的を悟り、理想的な世界を建設することです。このようなことは時間をかけて、真心を込めて教えて、初めて理解できるようになります。

 

 🌹今日の教育は、競争して勝った者が幸福を独占する、勝者独占社会を作っていくことに焦点が合わせられています。それは正しい教育ではありません。教育は人類が共に豊かに暮らす平和の世界を創るための手段でなければなりません。今まで私たちを支配してきた教育の理念と方法を、人類共通の目標のためのものに変えなければなりません。アメリカがアメリカだけのための教育を行い、イギリスがイギリスの利益だけのための教育を行えば、人類の未来は真っ暗闇です。

 

 🌹教育者は、自分一人が裕福に暮らす方法ではなく、私たちの時代のあらゆる社会的な諸問題を解決することのできる知恵を教えなければなりません。各宗教に属する宗教学者の役割はもっと重要です。宗教学者が教えるべきことは、自分の宗教の複雑な理論や優越性ではなく、人類を愛し平和世界を成し遂げる知恵です。彼らが先頭に立ち、人類は兄弟姉妹であり、世界は一つの家庭だという平和の原理を子孫に教えていかなければ、決して人類の幸福な未来を期待することはできません。

 

 🌹智慧の中の知恵は、神様の心情と理想を知ることです。ですから科学技術が天に届くかのような二十一世紀にも、宗教の役割は依然として重要です。したがって全世界の宗教は、人類の行くべき目的地を正確に知り、今すぐに大小の利益争いを止めなければなりません。体面を優先させた名分争いもやってはいけません。お互いに知恵を集め、力を合わせて理想世界の建設に勤(いそ)しまなければならないのです。葛藤と憎悪に染められた過去の日々はもう忘れ、平和をもたらさなければなりません。世界平和のための努力はいくらやっても終わりがありません。人類を理想世界に導いていく宗教者は、自分が平和の使徒であることを、一瞬たりとも忘れてはいけません。

 

 

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